遺言書
- 2016/12/27
- 2024/4/15
遺言書とは、自分が将来亡くなったときに、自分の意思や財産の処分方法などを、残された配偶者や子供たちに伝えるための手段です
遺言書の作成
遺言と書いて、「ゆいごん」「いごん」と読みます。 遺言と聞くと、イメージ的に重たい印象もあり、昔は敬遠する方も少なくありませんでした。 しかし、遺言書がないことによって、自分の死後に残される妻や子どもたちがもめたり、争いになったり、最悪の場合は裁判で戦うことになり、関係が修復されないことも多くあります。 これは、全て、亡くなった方の責任なのです。自分が後の世代に何のメッセージも残さないばかりに、残された人たちが、諍いを起こす原因になっているのです。 たった一枚の遺言書で、家族の幸せが守られることが多くあります。 自分の意思を家族に伝えていたつもりでも、実は、口で言っただけではなかなか伝わっていないものなんです。 どうか、自分の妻・子ども達・家族のために、あなたからの言葉を、しっかりとした「形」で、残してあげてください。
遺言の有無
一次相続から二次相続への期間(2010年~2013年の平均)
遺言書の種類と比較
遺言書には、一般的に多く用いられる書き方として、二つの方法があります。
- 公正証書遺言
- 自筆証書遺言
という2つの方法です。 これらの方法のほかに、普通方式・特別方式でさまざまな方法がありますが、ほとんどが遺言公正証書か自筆での遺言として作られています。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場で最終的に遺言を作成する方法で、公正証書で作られます。 公証人が内容の確認をし、公正証書遺言の原本が公証役場に保管されますので、遺言書の偽造や紛失の心配がなく、最も確実な方法の遺言といえます。 公正証書遺言の作成は、当事務所で文案を作成させていただき、公正証書に持参して、証人2名が立会い、公正証書の遺言書を作成します。 証人は、遺言者と利害関係がない証人である必要があるため、当事務所から証人を用意します。 公正証書での遺言書は、一番おすすめできる方式の遺言となります。
遺言公正証書のポイント
公正証書の遺言でのメリットは、複雑な内容での遺言にも対応できるという点です。 自筆の遺言では、間違った内容だと紛争の原因となるため、あまり細かい内容を記載するというのはおすすめできません。 しかし、公正証書では、専門家と公証人がしっかりと内容を確認し、作成します。 遺言で財産を承継させたい相続人や受遺者だけでなく、予備的遺言として、もし先に受け取るべき相続人が亡くなってしまった場合の財産の行き先なども決めることができます。 また、付言事項というメッセージも設定することができ、他の相続人に対する配慮や、遺留分に配慮するような文言を入れておくこともできます。 遺言の作成方法は、推定相続人の関係や家族関係などで様々な方法が考えられますので、詳細につきましては、お気軽にご相談ください。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、自分の自筆で、遺言書の全文を書くという方法です。 費用が安上がりで済むというメリットがある反面、書き方を間違えてしまうと遺言がすべて無効になってしまうというリスクもあります。 たとえば、全文を自筆で書いていなかったり、日付が書いていなかったり、吉日として明確でなかったり、押印がなかったり、財産の表記が誤っていたりするという事例です。 実際に、被相続人が亡くなって、遺言書が見つかったと言って持って来てもらっても、専門家が監修していない自筆遺言書では、そのほとんどが無効になってしまっていると言っても過言ではないでしょう。 それほど、自筆の遺言は、気を付けなければならないのです。 遺言書の種類についての詳細は、遺言書の種類と方式のページをご覧ください。
遺言書を書ける人
遺言を書くことができる人は、意思能力がある人で、年齢が15歳以上の者が遺言書を作成することができます。 一般的に、民法では、成年(成人)でないと行為能力がないとされています。したがって、未成年者は、親の同意や代理がないと有効に法律行為をすることができません。 しかし、遺言については、十五歳であれば遺言書についてどういうものかわかっているはずであるという前提のもと、未成年でも15歳に達したものであれば遺言をすることができると定めています。
民法 第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。 第九百六十二条 第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。 第九百六十三条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
遺言書を書いたほうがいい人
遺言は、できるだけ多くの方が書くべきです。 一般に、遺言書を書く人は、財産が多い人が書くべきと思われがちですが、実は財産が少ない人ほど、相続の争いであるいわゆる「争続」になることが多いものです。 特に遺言を書いたほうがいいと考えられる人は、以下のとおりです。
- 離婚して前妻の子がいる方
- 相続財産に現金・預貯金が少ない方
- 相続財産の不動産の価値(割合)が高い方
- 子どもがいない夫婦
これらの方々は、紛争になる可能性が比較的高くあるといえます。
遺言書を書かないリスク
たとえば、離婚して前妻の子がいる方は、離婚した状況にもよりますが、感情のもつれがあり、遺産分割の話し合いがうまくいかないことは容易に考えられます。 また、相続財産で不動産をお持ちの方・不動産の割合が高い方は、不動産を長男が継いだとしたら、次男や長女が不満・文句を言うというケースがよくあります。親から見た子供は仲良さそうに見えても、子ども同士の関係では色々思うところがあったり、結婚して配偶者や子どもがいて素直になれなかったりすることは、よくあることです。 子どもがいないご夫婦では、相続人が配偶者と兄弟ということになります。現代の日本の実情では、妻(配偶者)にすべて相続してほしいと考える方がほとんどですが、法制度が未だ昔のままになっており、配偶者に対して家や預貯金をしっかり残したければ、必ず遺言書を書くべきと言えます。
遺言書作成の費用
遺言の手続きにかかる費用は、役所で取得する戸籍謄本・住民票などの取得実費や、公証役場での公正証書作成に必要な公証人手数料、司法書士への手数料などが必要となります。 相続手続き費用の詳細は、相続料金プランのページをご覧ください。 ご不明な点やお見積りは、お気軽にご相談ください。