長谷川式認知症テスト
- 2017/1/28
- 2018/12/21
長谷川式評価スケールの認知症診断
長谷川式スケールとは、認知症のテストを行うために開発された診断ツールです。
認知症テストの方法は、9問の質問を行い、その正解点数によって、認知症の度合いを判定するものです。
物忘れや認知症のリスクは、年々増加していっています。
日本人の平均寿命は伸びていますが、物事を正常に判断し、日常生活を問題なく送ることができる「健康寿命」と、平均寿命までの間の期間が長くなり、それによる問題も多くなっています。
仮に、認知症になってしまった場合は、一人では有効な法律行為を行うことができず、不動産の売買・賃貸・修繕を行ったり、預貯金の解約を行ったりする際に、制限ができてしまいます。
そのため、あらかじめ任意後見契約を締結しておいたり、成年後見の申立てをして後見人を選任したり、補佐人・補助人といった制度を利用したりするのですが、近年こういったご相談を数多くいただいております。
平均寿命と健康寿命
健康寿命の問題は、相続の問題とも合わせて、社会的に大きな問題となっており、いざ認知症になってしまった後では遅いのです。
日本人の健康寿命は、男性が平均71歳、女性が74歳とされています。
そして、平均寿命は、男性が80歳、女性が86歳です。
つまり、平均寿命から健康寿命を引くと、男性が9年、女性が12年という長期にわたり、様々な問題が噴出することが予想されます。
(もっと長生きする方の場合は、この期間がさらに長くなることになります。)
性別 | 健康寿命 | 平均寿命 | 平均寿命-健康寿命 |
男性 | 71歳 | 80歳 | 9年 |
女性 | 74歳 | 86歳 | 12年 |
これらのリスクを事前によく考えて、任意後見契約を締結して契約書を作成しておいたり、信頼できる家族との間で家族信託の契約(民事信託)を行ったりすることが必要になってきます。
長谷川式認知症テストの内容
長谷川式テストの質問事項は、以下のとおりです。
- お歳はいくつですか?(2年までの誤差は正解)
- 今日は何年何月何日ですか? 何曜日ですか?(年月日、曜日が正解でそれぞれ1点ずつ)
- 私たちがいまいるところはどこですか?
(自発的にでれば2点、5秒おいて家ですか?病院ですか?施設ですか?のなかから正しい選択をすれば1点) - これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
(以下の系列のいずれか1つで, 採用した系列に○印をつけておく)
(1): a)桜 b)猫 c)電車
(2): a)梅 b)犬 c)自動車 - 100から7を順番に引いてください。
(100-7は?、それからまた7を引くと? と質問する。最初の答えが不正解の場合、打ち切る) - 私がこれから言う数字を逆から言ってください。
(6-8-2、3-5-2-9を逆に言ってもらう、3桁逆唱に失敗したら、打ち切る) - 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。
(自発的に回答があれば各2点、もし回答がない場合以下のヒントを与え正解であれば1点)
ヒント:a)植物 b)動物 c)乗り物 - これから5つの品物を見せます。それを隠しますのでなにがあったか言ってください。
(時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なもの) - 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
(答えた野菜の名前を右欄に記入する。途中で詰まり、約10秒間待っても出ない場合には そこで打ち切る)
0~5=0点, 6=1点, 7=2点, 8=3点, 9=4点, 10=5点
なお、具体的な質問事項や注意点は、http://www.medica-site.com/special/img_special069/hasegawa.pdfをご覧ください。
長谷川式評価スケールの基準
長谷川式認知症テストの結果が、20点以下だと認知症の疑いがあります。認知機能が低下して日常生活に影響がある可能性が高いと判断されます。
21点以上の方は、認知症の疑いは低いといえます。しかし、物忘れが多くなってきていたり、認知機能が衰えていると気になる場合は、病院での診察をおすすめします。
認知症の重症度別の平均点としては、
- 認知症ではない:24.3点
- 軽度認知症:19.1点
- 中等度認知症:15.4点
- やや高度認知症:10.7点
- 高度認知症: 4.0点
成年後見制度による後見人や、保佐人・補助人といった制度においても、この長谷川スケールの点数が一定の基準となります。
たとえば、
- 補助人がつく補助相当 19.1点
- 保佐人がつく保佐相当 15点
といったところが、一つの目安となります。
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