遺留分とは
- 2018/4/25
- 2019/3/26
遺留分の権利とは?
相続をするとき、必ずしも法律で決められた割合(法定割合・法定相続分)で相続する必要はありません。
遺言がある場合や、相続人間で協議がまとまった場合には、法定割合とは異なった割合で相続することもできますし、誰かひとりが相続財産全てを相続することも可能です。
しかし、例えば遺言書によって特定の人のみが相続するよう指定されていた場合に、他の相続人は、全く相続することができないのでしょうか?
特定の1人がすべて相続するという遺言がある場合、その遺言内容は有効ではありますが、相続財産を受け取ることができなかった相続人には「遺留分(いりゅうぶん)」が保証されます。
遺留分とは、相続人の生活保証などのため、最低限は相続できるとされる相続財産のことです。
遺留分を請求できる相続人は、「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」をすることにより、相続財産の一部を相続することができます。
遺留分がもらえる人は?
相続人に最低限保証される遺留分ですが、相続人であれば、誰しも遺留分があるわけではありません。
遺留分が保証されている相続人は、被相続人の
- 配偶者
- 子
- 父母
とされています。
家族構成によっては、兄弟が相続人となることはありますが、この相続人である兄弟たちには遺留分はありません。
ですので、被相続人が「妻に全財産を相続させる」という遺言をのこし、他の相続人が兄弟である場合には、兄弟は遺留分を主張して相続財産を取得するということはできないということになります。
また、遺留分として請求できる財産は、法律で割合が決められており、
- 相続人の中に配偶者・子がいる場合は、相続財産の2分の1
- 法定相続人が父母だけの場合は、相続財産の3分の1
という割合が、上限です。
遺留分の算定基準
遺留分が具体的にどのくらいの価格になるかは、相続財産の価格によって決まります。
この遺留分の基準となる相続財産は、死亡時に残っている相続財産だけでなく、死亡前1年以内に被相続人が贈与などを行っていれば、その贈与財産なども対象となります。
この贈与の相手は、相続人だけでなく、他人も含まれます。
また、債務などマイナスの相続財産がある場合は、この債務額は遺留分の基準となる相続財産から控除します。
その他、相続人の中で、生前に被相続人から特別に財産をもらっていた、援助を受けていた、などの事情があれば、それらは時期を問わず、遺留分の算定に影響します。
したがって、実際に遺留分減殺請求をする際には、相続財産に何があるかだけでなく、生前の被相続人と相続人らの財産のやりとりなども調べる必要があります。
遺留分の制限
遺留分を請求するには、遺言などによって相続財産を取得することになった相続人に対し、遺留分減殺請求の通知を送ることによって行います。
この遺留分減殺請求の通知は、相続の開始、または自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年以内にしなければいけません。
また、自分の遺留分が侵害されていることを知らなくても、相続開始から10年経過してしまうと、これも時効により請求できなくなってしまうので注意が必要です。
遺留分は相続人に最低限保証された財産ではありますが、その権利を行使するかは、相続人の自由です。
しかし、遺留分の請求がしたいと考えた場合には、その請求できる期間は短いので、お早めにご相談ください。
また、他の相続人に残る遺留分について相談したいという場合も、お気軽にご相談ください。
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※日本司法書士連合会WEBサイトより引用