死亡した被相続人の住所が不明な場合の相続放棄

相続放棄で最後の住所地が不明なとき

相続放棄の手続きでは、管轄の家庭裁判所に対して、被相続人の相続を放棄する旨の申述を行います。
家庭裁判所の管轄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄となります。
亡くなった被相続人との交流があり、死亡してすぐに相続放棄の手続きをとる場合には、住民票などで住所を確認することができます。
しかし、生前に連絡をとることがないなど、ほとんど交流がなかったような場合や、さらに亡くなってから数年経った後に借金が発覚するなどで相続放棄を検討する場合などは、どこに住んでいたのかまったくわからない、どのように最後の住所を確認すればよいのかという問題が出てきます。

一般に、被相続人の死亡時の住所を確認する書類は、

  • 住民票の除票
  • 戸籍の附票
  • 死亡届の記載事項証明書

といった書類で確認できます。
具体的な内容は、以下のとおりです。

住民票の除票

被相続人が死亡すると、住民票に死亡した旨が記載されます。
この住民票の除票を確認すれば、最後の住所地が載ってきます。
住民票の除票は、役所での保管期間が5年程度なので、保管期間を経過すると取得することができなくなってしまいます。

戸籍の附票

被相続人の本籍地がわかる場合は、戸籍の附票を取得することで、住所地を確認できます。
戸籍の附票とは、被相続人がその戸籍に在籍している際に、どこの住所にいたかということが証明できる書類です。

被相続人の本籍地がわからない場合でも、相続人の方の戸籍を順番に取り寄せて確認していけば、最終的には亡くなった被相続人の戸籍とのつながりが出てきますので、そちらで本籍地を確認することができます。

なお、戸籍の附票についても、役所での保管期間が10年程度とされていることが多く、保管期間を徒過すると破棄されて取得できなくなります。

死亡届の記載事項証明書

死亡届の記載事項証明書とは、法務局で保管されている死亡の証明書(死亡届の写し)です。
死亡届は、人が亡くなったときに市区町村役場に提出します。
死亡届の提出先は、

  • 死亡者の死亡地
  • 死亡者の本籍地
  • 届出人の住所地

上記の市区町村役場(市役所・区役所・町村役場)となっています。
(死亡者の住所地は、提出先に含まれていません。)

そして、約1か月ほど、本籍地の市町村役場で保管されますが、
それ以降は、その市町村を管轄する法務局・支局に送付されることになります。
管轄の法務局は、本籍地を管轄する法務局です。

たとえば、名古屋市に本籍地がある方が亡くなった場合は、名古屋法務局がその管轄になりますし、
本籍がみよし市にある方の場合は、名古屋法務局豊田支局が管轄となります。
本籍地を管轄する法務局については、以下をご覧ください(名古屋法務局管内)。

支局・出張所管轄
本局名古屋市中区,東区,北区,中村区,西区,千種区,昭和区
西春日井郡豊山町, 清須市,北名古屋市
熱田出張所名古屋市熱田区,南区,中川区,港区,瑞穂区,緑区
豊明市
名東出張所名古屋市名東区,守山区,天白区
日進市,長久手市, 愛知郡東郷町
春日井支局春日井市,瀬戸市, 犬山市,小牧市
尾張旭市,丹羽郡(大口町,扶桑町)
津島支局津島市,愛西市, 弥富市,あま市
海部郡(蟹江町,飛島村,大治町)
一宮支局一宮市,稲沢市, 江南市,岩倉市
半田支局半田市,常滑市, 大府市,東海市, 知多市,知多郡(阿久比町,武豊町,南知多町,美浜町,東浦町)
岡崎支局岡崎市, 額田郡幸田町
刈谷支局刈谷市,知立市, 安城市,碧南市, 高浜市
豊田支局豊田市, みよし市
西尾支局西尾市
豊橋支局豊橋市, 田原市
豊川出張所豊川市, 蒲郡市
新城支局新城市, 北設楽郡(設楽町,東栄町,豊根村)

なお、死亡届の記載事項証明書の保存期間は、15年ほど保管されているようですので、住民票の除票や戸籍の附票が廃棄されている場合でも保管されている可能性があります。

請求の理由と利害関係

この死亡届けなどの戸籍届書は、機密性が高い個人情報が記載されているため、原則として非公開の書類となります。
ただし、利害関係がある方は、特別の事由がある場合に限って、証明書を請求することができます(戸籍法第48条第2項)。

戸籍法 第48条第2項
利害関係人は、特別の事由がある場合に限り、届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し、又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができる。

特別の事情の内容や、利害関係人の範囲、死亡届の記載事項証明書を請求するための必要書類については、
管轄の法務局の戸籍課・総務課にご相談ください。

委任状の書式

死亡届の記載事項証明書を請求するのは、本人だけではなく、代理人からの請求も可能です。
委任状の書式例は、以下のとおりです。

委任状

住 所
氏 名

私は,上記の者を代理人と定め,次の権限を委任します。

1 下記届書の記載事項証明書請求及び受領に関する一切の権限

 記

  • 事件本人 本籍地
  • 事件本人 氏名
  • 届出の種類
  • 届出年月日
  • 事件本人と委任する人の関係
  • 請求の理由
  • 請求通数

平成  年  月  日

(委任者)
住 所
氏 名                       印

 

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